多田銀銅山の鉱石

 

 多田銀銅山地区には多くの鉱脈や間歩がある。これらの相違によって鉱物種が少しずつ異なることが、ズリ山の鉱物の組合せから観察される。

 全体で30種以上の鉱物が報告されているうち、鉱石鉱物も多数見られる。稼行されてから長い期間が経っているので、全体の把握は困難であるが、採掘された主な鉱石鉱物は、斑銅鉱、黄銅鉱及び方鉛鉱、などと筆者は推定している。また、青色の紺青石(藍銅鉱)及び緑色の緑青(孔雀石)の岩絵の具が採掘された。

 

 銀の含有は、銅鉱石である斑銅鉱の中に、自然銀、輝銀鉱及び輝銀銅鉱などの銀鉱物が散在していることによる。

 

 鉱石の生成過程を次のように考察する。すなわち、約6500万年前、地下から鉱液が上昇し、流紋岩質溶結凝灰岩などの火山岩体に、一次鉱物である黄銅鉱(図1)や方鉛鉱の大きな鉱脈が形成された。その後、鉱脈を含む一帯に断層活動があり、鉱脈と母岩が破砕され、鉱石は地下水と反応し、銀を含む斑銅鉱(図2)の二次富鉱体が形成された。

 

 斑銅鉱は、銀や不純物の含有により、とかげ色、黒色、赤銅色など様々な色に変化する。とくに銀の多いとかげ色の鉱石を図2に示す。自然銀は、斑銅鉱のほか、石英を含む砕屑岩の中(図3)にも見られる。藍銅鉱(図4)及び孔雀石(図5)も二次鉱物である。

*下の写真は多田銀銅山で産出された鉱物です。

     図1 黄銅鉱

 図2 斑銅鉱


  図3 自然銀(淡い黄赤色)

     図4 藍銅鉱


     図5 孔雀石

<青木間歩>

  唯一、坑道内を体験できる間歩です。

見学時間:9時〜17時

12月29日~1月3日は休み

多田銀銅山は、平成19年度経済産業省「近代化産業遺産」に認定されています。